60歳からの外国語修行、メキシコに学ぶ、青山南著、岩波新書、2017年発行
この本は何が面白いか
60歳という年は人生の終わりと思っている、という事それにもかかわらず、さらにメキシコに行ってまでして語学の勉強をする意味があるのか、という問い。ただしこの著者はある意味翻訳家でかつ大学の先生でもあるので本来的にはスペイン語というものを学ぶ必要がある人でもあった。(特に米文学はとみにスペイン語が突然小説の中に使われてきている。スパングリッシュという言葉があるくらい)しかし確かに人生の終わりに近い人が語学を学んで何の意味があろうかという気持ちはぬぐえない。そう思う一般の人たちをも想定して書かれている。
NHKの語学講座の挫折
まずNHKの語学講座を大体一か月で挫折をすることを繰り返していた。4月とか10月の開講の時期のものだけ買って止めてしまう。そういうことは多くの人が経験しているだろう。
これはスペイン語を話す空間にいないから勉強できないのかなと思ったのがきっかけだった。
メキシコでは日本円で語学教室は一週間約18000円くらい、宿泊費は2500円/一日くらい。ホームステイでの2食つきが相場だそうだ。
これを読むと安心することがある。
この方は英語は相当達者なはずだ。(アメリカの小説の翻訳家)にもかかわらず、メキシコに行って学んでもすぐ達人にはならず、本当に挫折しながら少しづつ理解をしていくという状況が書かれている。(10ヶ月)英語ができればその上にスペイン語は簡単に習得できるはずと思うがしかしそうでもなく、やはり初心者として学ばざるを得ないという事がよくわかる。外国語は活用形が面倒であるがそこに四苦八苦している姿が目に浮かぶがごとく書かれている。誰でも初心者であることを肝に銘ずという感じが面白い。
著者のいう重要なこと
それは語学を学ぶという事を前提の旅行と考えるとこの旅行も楽しいし慈昧豊かであると。これは多分に上海や台湾で中国語などを学ぶとそういうことになるかもしれない。
また、アメリカの中のメキシコ、メキシコの文化そういう事にもわかりやすく触れられている。
オンザロードという小説知っているかな
最後にこの方はケルアック著「オンザロード」の翻訳家である。この本は青春の不安のただなかにいる青年たちがまさにアメリカ中を車で疾走しながら起きることが書かれた物語で、ビートゼネレーションといわれる50年代から60年代にかけての青春のバイブルといわれる書である。米文学の画期をなした作品である。映画化された。僕はこの映画を見たがこの翻訳家とここで再会するとは。また年齢も一緒だった。