saraeboの花

2006年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞、監督、脚本ヤストラ・ジュパニッチ
イビチャ・オシムのキャッチコピーがついている。
「人類は二度と決してこのような悲劇を一時も、如何なる場所においても起こしてはならない。この映画をできるだけ多くの人に見てほしい。」
この映画はさほど面白く始まるわけでもない。
会話が多くもない親子、母と娘の物語。サラエボの紛争後にどんな状況が起こっているのかをほうふつとさせる。映画の作り方としてはうまい。

直接ドキュメントのように映画を作っても面白みに欠ける。
しかしこの「サラエボの花」は娘が父親が紛争の犠牲者であった場合には、中学の修学旅行費用を免除する
という学校の方針だったがそのためには証明書が必要である。娘が母親にその証明書を早く持ってきてとせがむ。しかし母親はなかなかそれに応じない。なぜか言えない悩みがあった。しかしお金の必要性はある。そのために母は友達からお金を借りる算段をしたり、働いているレストランバーで店主に前借をせがんだりと苦労する。娘は父がセルビア紛争の犠牲者英雄であるはずと思っていた。母の言えない苦しみが滲み出てくる。そこにまだあるこの地域の悲惨と不幸が現れる。しかしなお希望はあるのだ。

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